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特別寄稿「私の心はスロヴァキア・フィルと供に」

2018-05-24 04:35:00

■特別寄稿

私の心はスロヴァキア・フィルと供に
ルドヴィート・カンタ(チェロ)
 
スロヴァキアはヨーロッパの真ん中に位置した小さな国です。首都ブラティスラヴァはウィーンから車で1時間ほどの距離。歴史的・文化的にもヨーロッパの重要な町のひとつです。そのレジデンス・オーケストラである「スロヴァキア・フィル」もスロヴァキアの伝統を持ちつつ、ヨーロッパ諸国からの影響も大いに受け、それ自体がこのオーケストラのDNAとなっています。オーケストラのメンバーも面白い人がたくさん居ます。私が在籍していた頃のことですが、たとえば、チェスプレイヤー、登山者、写真家、外国語エキスパートなどなど・・・、実に自由で個性的な面々がいて、今もきっと変わらないはずです。
私がこのオーケストラに入団したのは25歳の時で、まだプラハアカデミーに在学中でした。オーケストラの経験もほとんど無い私でしたが、このオーケストラの持つ伝統とメンバーたちから本当に様々な経験をさせてもらいました。生涯忘れられない事です。
このオーケストラは、言葉では言い表せない不思議なエネルギーと音楽的な感情を持っていると思います。他には無い、唯一無二の楽団だと思います。聴く人を虜にして、もう一度聴きたいと思わせる音楽をいつも聴かせてくれます。
私がまだオケのメンバーだった頃の日本ツアーでの出来事です。ツアーの指揮は、スロヴァキア・フィルにとってはかけがえの無い指揮者であったZ.コシュラー氏でした。大阪公演で演奏が終わった後、大きな拍手と供に観客のスタンディングオヴェーションが止まらず、何度も指揮者が、バックステージから呼び戻されました。それでもお客様の拍手が鳴り止まず、とうとうオーケストラはステージから退散、それでも興奮冷めやらないお客様のためにコシュラーは30分以上もの間何度もステージでお客様の歓声に答えていました。それくらい人々を魅了する素晴らしさがあるオーケストラなのです!
                                          photo : Ľudovít Kanta
私は故郷スロヴァキアを離れ、第2の故郷日本で活動をしていますが、今でも私の心はスロヴァキア・フィルと供にあります。
今回のツアープログラムはオーソドックスなスラヴ系の曲で、わりと日本でも良く演奏される曲かもしれませんが、この普段聴きなれた曲でさえ、スロヴァキア・フィルの演奏にかかったらまるで初めて聴くかのような、それであって何とも懐かしく心に寄りそうような、そんな風に聴こえてくることでしょう。彼らにとっては生活の一部であるといえる十八番プログラミングですね。
スロヴァキアの風を感じてください。一生忘れられない演奏になると思います。どうぞお楽しみに。
 
◎ルドヴィート・カンタ(チェロ奏者)
スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団第1チェロ奏者を経て来日。オーケストラ・アンサンブル金沢首席チェロ奏者を務め、長年に渡りOEKの音・顔としてオーケストラの発展に大きく功績を残してきた。2018年3月にOEKを退団し、現在OEK名誉楽団員。またソロ・室内楽を中心に国内外で活動を予定している。趣味は、空手(2段)、登山、写真。
 
◎ルドヴィート・カンタ&スロヴァキア・フィルin金沢
2018年6月23日(土)17:00開演
 石川県立音楽堂 コンサートホール
スメタナ:『モルダウ』 連作交響詩「我が祖国」より 
Bedrich Smetana : "The Moldau" from 'My Country'
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
Antonin Dvorak : Cello Concerto in B Minor, op.104,B,191
ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95
Antonin Dvorak : Symphony No.9 in E Minor, op.95,B.178 "From the New World"
 
詳細
 
 
◎スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団 日本ツアー2018
6月18日(月) 19:00開演 サントリーホール 大ホール 【プログラムA】
6月20日(水) 19:00開演 ルネこだいら 【プログラムB】
6月21日(木) 18:30開演 三重県文化会館大ホール 【プログラムA】
6月22日(金) 19:00開演 京都コンサートホール大ホール 【プログラムA】
6月23日(土) 17:00開演 石川県立音楽堂 コンサートホール 【プログラムB】
6月24日(日) 15:00開演 サンシティホール大ホール(埼玉県越谷市)【プログラムB】
6月25日(月) 19:00開演 サントリーホール大ホール 【プログラムB】
6月26日(火)19:00開演 武蔵野市民文化会館大ホール 【プログラムC】
 
■プログラムA ダニエル・ライスキン(指揮) アンナ・ヴィニツカヤ(ピアノ)
チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」よりポロネーズ
Tchaikovsky : "Polonaise" from ”Eugene Onegin"
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品.23
Tchaikovsky : Piano Concerto No. 1 in B-flat minor, Op. 23
チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 作品. 74 「悲愴」
Tchaikovsky : Symphony No. 6 in B minor, “Pathétique”, Op. 74
 
■プログラムB レオシュ・スワロフスキー(指揮) 堤剛(チェロ) ルドヴィート・カンタ(チェロ/6/23石川公演)
スメタナ:我が祖国より「モルダウ」
Smetana:Vltava from Ma Vlast JB1:112
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104 
Dvorak: Cello Concerto in B minor, Op.104, B. 191
ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95 「新世界より」
Dvorak: Symphony No.9 in E minor, "From the New World", Op. 95, B. 178
 
■プログラムC  レオシュ・スワロフスキー(指揮)
ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 作品68『田園』
ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 作品88